日本のチェルシーホテル

友人に会った帰り道、少し遠回りして文京区春日の川口アパートメントの前を通ってみました。川口アパートメントというのは、第1回直木賞作家かつ大映の専務、そして三益愛子の夫であり(今私が夢中な!)川口浩の父でもある、川口松太郎が建てたマンションなのであります。

坂を上がった静かな高台に佇む窓の大きな低層の建物で品の良いファサード、エントランスに張り出している屋根に「KAWAGUCHI APARTMENTS」と記してあるのも時代がかったいい雰囲気。そりゃ経年劣化はあるけども64年当時はさぞモダンな建物だったはず。そして60-70年代は加賀まりこや野際洋子、安井かずみら俳優や音楽関係の人々が住む華やかでお洒落な高級アパートメントでもあったそうです。

それにしても、スクラップ&ビルドばかりの東京でこんな建物がこの状態で残っているのが素晴らしいね。しかもあの川口松太郎が建てたアパートメントだと思うと、ここしばらく神保町に通って観ていた映画の空気がそのまま残っているようで、車からしばし見とれてしまいました。

原宿のコープオリンピアに事務所を持つ友人から聞いたら、設備が古い建物は水回りや配電系が弱く大変らしい。でも利便性なんてどうでもいいような何かがありそうなのよね。滅多に空きが出ないらしいけど、住めるものなら住んでみたいね。